ダラキューロ®配合皮下注は、高リスクのくすぶり型多発性骨髄腫に対し現在申請中であり、本邦未承認です。
ダラキューロ®配合皮下注、高リスクのくすぶり型多発性骨髄腫の日本人サブグループにおいて全体集団と一貫した有効性及び安全性が示唆される
Johnson & Johnson(日本における医療用医薬品事業の法人名:ヤンセンファーマ株式会社、本社:東京都千代田区、代表取締役社長:クリス・リーガー、以下「J&J」)は、高リスクのくすぶり型多発性骨髄腫の患者さんを対象とするダラキューロ®配合皮下注〔ダラツムマブ(遺伝子組換え)・ボルヒアルロニダーゼ アルファ(遺伝子組換え)、以下「ダラキューロ®」〕:の国際共同第III相AQUILA試験1の日本人サブグループ解析の結果を発表しました。AQUILA試験( NCT03301220)は、高リスクのくすぶり型多発性骨髄腫患者さん390例を対象に、ダラキューロ®単剤療法群と経過観察群を比較検討する第III相、無作為化、多施設共同試験です1。試験の結果、日本人部分集団においても、AQUILA試験の全体集団と一貫した結果が示唆されました。これらの結果は、2025年第87回日本血液学会学術集会(The Japanese Society of Hematology:JSH)にて口頭発表されました。
くすぶり型多発性骨髄腫は、多発性骨髄腫の無症候性の前駆状態であり、異常な形質細胞が骨髄内で検出されますが、無症状です2。
現在のところ、くすぶり型多発性骨髄腫は多発性骨髄腫に進行するまで治療はされておらず、標準的なアプローチとして生化学的な病勢進行及び/又は臓器障害発現まで経過観察とし、症候性となってから治療を開始しています2。しかし最近のエビデンスでは、多発性骨髄腫への進行リスクの高い患者さんには、早期からの治療介入が効果的である可能性が示唆されています3。
J&Jはダラキューロ®配合皮下注に関し、日本国内において、高リスクのくすぶり型多発性骨髄腫の患者さんを対象に、ダラキューロ®単剤療法による有効性及び安全性を検証した国際共同第III相AQUILA試験 ( NCT03301220)に基づき「高リスクのくすぶり型多発性骨髄腫」を効能又は効果として、2025年2月14日に製造販売承認事項一部変更承認申請を行いました。
高リスクのくすぶり型多発性骨髄腫患者さんを対象に、ダラキューロ®単剤療法群と経過観察群とを比較し、有効性及び安全性を評価したAQUILA試験の最初のデータは、2024年米国血液学会年次総会で 発表され、また「 The New England Journal of Medicine」にも掲載されました3。AQUILA試験では、高リスクのくすぶり型多発性骨髄腫の全患者集団において、ダラキューロ®単剤療法群は経過観察群と比較し、観察期間中央値65.2ヵ月(範囲:0~76.6ヵ月)の時点で、多発性骨髄腫への進行や死亡リスクを51%低下させました。なお、新たな安全性シグナルは認められませんでした4。
今回の日本人部分集団解析では、ダラキューロ®単剤療法群15例と経過観察群13例を対象としました。主要評価項目の無増悪生存期間(Progression Free Survival : PFS)では多発性骨髄腫への進行又は死亡リスクを75%減少させ、全体集団と一貫した結果でした。全奏効率、生化学的又は国際骨髄腫作業部会(International Myeloma Working Group : IMWG)による多発性骨髄腫の診断基準(SLiM-CRAB)に従って判定した多発性骨髄腫への進行までの期間、多発性骨髄腫に対する初回治療までの時間においても、全体集団と一貫した改善傾向が示されました。
安全性に関しては13例(86.7%)の患者さんで、疾患進行や有害事象による投与中止がなく、予定された39サイクルあるいは36ヵ月の投与を完遂しました。
J&J Innovative Medicine Oncology Therapeutic Area HeadのYusri Elsayed, M.D., M.H.Sc., Ph.D.は、次のように述べています。「多発性骨髄腫に進行するリスクの高いくすぶり型多発性骨髄腫の患者さんには、効果的で忍容性の高い早期介入・治療に対するアンメットニーズが残されています。今回の日本人サブグループ解析の結果、ダラキューロの単剤療法は全患者集団と一貫した有効性及び安全性が示唆されました。これはこの疾患とともに生きる患者さんにとって非常に勇気づけられるデータです。私たちは早期の段階にある多発性骨髄腫患者さんの治療ゴールを進化させ、残されたアンメットニーズに応え、そしてあらゆるステージにおける治療アウトカムに変革をもたらすことを目指し、尽力して参ります」
AQUILA試験について
AQUILA試験(
NCT03301220)は、高リスクのくすぶり型多発性骨髄腫患者さん390例を対象に、ダラキューロ®単剤療法群と経過観察群を比較検討する第III相、無作為化、多施設共同試験です1。主要評価項目は無増悪生存期間(Progression Free Survival:PFS)で、増悪とは、独立審査委員会が評価し、国際骨髄腫作業部会(International Myeloma Working Group : IMWG)による多発性骨髄腫の診断基準(SLiM-CRAB)に従って判定した多発性骨髄腫への進行又は死亡と定義しました。主な副次評価項目は無増悪期間、全奏効率、全生存期間、多発性骨髄腫に対する一次治療下のPFS(PFS2)です1。本試験に組み入れられたのは、過去5年以内にくすぶり型多発性骨髄腫と診断された患者さんで、くすぶり型多発性骨髄腫又は多発性骨髄腫に対して承認された治療薬もしくは治験薬による治療歴がある場合には、除外されました1。
くすぶり型多発性骨髄腫について
くすぶり型多発性骨髄腫は、多発性骨髄腫の無症候性の前駆状態です。くすぶり型多発性骨髄腫は、骨髄中の異常な形質細胞、血中モノクローナルタンパク質(Mタンパク質)濃度が上昇していますが、多発性骨髄腫によく見られる症状(特に臓器障害)は発現していません。
多発性骨髄腫について
多発性骨髄腫は、形質細胞が骨髄で異常に増殖することで生じます5,6。形質細胞が増殖し、がん化して骨髄腫細胞になり、多発性骨髄腫を発症します5。日本国内における2021年の多発性骨髄腫の新規診断者数は約7,800人7で、2023年の死亡者数は約4,300人7とされています。多発性骨髄腫は無症状の場合もありますが、骨痛や骨折、息切れ・倦怠感、免疫機能の低下、腎障害や血液障害などにより受診し、診断されることがあります8。
ダラキューロ®配合皮下注について
ダラツムマブ皮下投与製剤であるダラキューロ®は、日本では2021年3月に多発性骨髄腫の治療薬として承認され、同年5月に発売されました。多発性骨髄腫、全身性ALアミロイドーシスの2つの疾患にわたり、5つの治療レジメンで使用されます。
また米国では、2020年5月に米国食品医薬品局の承認を取得し、多発性骨髄腫における9つの適応症に対して承認されています。そのうちの4つが、移植適応又は移植非適応の未治療の多発性骨髄腫患者さんに対する治療です9。本剤は、多発性骨髄腫治療薬として承認されている唯一の抗CD38抗体薬皮下注製剤です。ダラキューロ®は、Halozyme社のENHANZE®ドラッグデリバリー技術である遺伝子組換えヒトヒアルロニダーゼPH20と共に製剤化されています。
Johnson & Johnson について
Johnson & Johnsonは、健康こそすべてだと考えています。ヘルスケアイノベーションにおける私たちの強みが、複雑な病を予防、治療、治癒し、治療をよりスマート化した、低侵襲なものに進化させ、一人ひとりの患者さんに合ったソリューションを提供することができる世界を築く力になります。Innovative MedicineとMedTechにおける専門性を生かし、将来の飛躍的な進化に向けてヘルスケアソリューションの幅広い領域でイノベーションを推し進め、人々の健康に大きなインパクトを与えていきます。
日本におけるJohnson & Johnson Innovative Medicine について
Johnson & Johnson Innovative Medicine は、米J&Jグループにおける医療用医薬品事業の名称です。日本では、1978年の設立以来、これまでヤンセンファーマ株式会社として、患者さんの治療に貢献する多くの医薬品をお届けしてきました。私たちは、アンメットニーズに基づく開発戦略のもと、注力疾患領域―がん、免疫疾患、精神・神経疾患、心・肺疾患における学術および情報提供活動を強化しながら、私たちの薬剤を必要とする全ての患者さんが適切なタイミングでベストな治療を選択するための活動を続けています。
Johnson & Johnson Innovative Medicineに関する詳しい情報は
www.jnj.com/innovativemedicine/japan/ をご覧ください。
将来に関する記述
このプレスリリースには、米国の1995年私的証券訴訟改革法で定義された「将来に関する記述」が含まれています。これらの記述は、製品開発及びダラキューロ®の潜在的なベネフィット及び治療影響に関するものです。お読みの際には、これらの将来の見通しのみに依拠しないよう、ご注意ください。これらの記述は、将来の事象に関する現時点での予測に基づいています。
基礎となる前提が不正確であると判明した場合、あるいは既知もしくは未知のリスクや不確実性が現実化した場合、実際の成果は、Janssen Research & Development, LLC、Janssen Biotech, Inc.、ヤンセンファーマ株式会社及び/又はジョンソン・エンド・ジョンソンの予測や見通しと大きく異なる可能性があります。
リスクと不確実性には、これらに限定されるものではありません。臨床的成功及び規制当局の承認取得の不確実性をはじめとする製品の研究開発に伴う課題や不確実性、商業的成功の不確実性、製造上の問題または遅延、競合他社による特許取得、新製品開発、特許に対する異議申し立て、製品回収又は規制当局による措置につながる可能性、製品の有効性又は安全性に関する懸念、ヘルスケア製品及びサービスの購入者の行動や支出パターンの変化、世界的な医療改革などの適用される法律や規制の変更、医療費抑制への動きなどが含まれますが、これらに限定されるものではありません。
これらのリスクや不確実性、その他要因の詳細と一覧については、最新のForm10-Kに基づくジョンソン・エンド・ジョンソンの年次報告書の「将来予測に関する記述に関する注意事項(Cautionary Note Regarding Forward-Looking Statements)」、「リスク要因(Item 1A)」のセクション、またはジョンソン・エンド・ジョンソンの四半期報告書(From 10-Q)及び証券取引委員会へのその他の提出書類をご参照ください。
これら書類は、オンライン(
www.sec.gov,
www.jnj.com)でご覧いただくか、もしくはジョンソン・エンド・ジョンソン宛てにご請求ください。Janssen Research and Development, LLC、Janssen Biotech, Inc.、ヤンセンファーマ株式会社及びジョンソン・エンド・ジョンソンは、新たな情報や今後の事象・変化などに基づいて、将来予測に関する記述を更新する義務を負いません。
【本件に関するお問合せ先】
Johnson & Johnson Innovative Medicine
コミュニケーション&パブリックアフェアーズ部
E-mail:
JP-PR@its.jnj.com
参考文献
1. ClinicalTrials.Gov. A Study of Subcutaneous Daratumumab Versus Active Monitoring in Participants With High-Risk Smoldering Multiple Myeloma. Accessed October 2024. Available at: Study Details | A Study of Subcutaneous Daratumumab Versus Active Monitoring in Participants With High-Risk Smoldering Multiple Myeloma | ClinicalTrials.gov
2. Myeloma UK. Smoldering myeloma. Accessed January 2025. Available at: https://www.myeloma.org.uk/understanding-myeloma/related-conditions/smouldering-myeloma/#:~:text=In%20smouldering%20myeloma%20abnormal%20cells,generally%20do%20not%20require%20treatment.
3. M.A. Dimopoulos, et al. Phase 3 Randomized Study of Daratumumab Monotherapy Versus Active Monitoring in Patients With High-risk Smoldering Multiple Myeloma: Primary Results of the AQUILA Study. Presented at the December 2024 ASH Annual Meeting & Exposition. Abstract JJD-78127.
4. Daratumumab or Active Monitoring for High-Risk Smoldering Multiple Myeloma | New England Journal of Medicine
5. Rajkumar SV. Multiple Myeloma: 2020 Update on Diagnosis, Risk-Stratification and Management. Am J Hematol. 2020;95(5):548-5672020;95(5):548-567. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/32212178
6. National Cancer Institute. Plasma Cell Neoplasms. Accessed January 2025. Available at: https://www.cancer.gov/types/myeloma/patient/myeloma-treatment-pdq
7. 国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・統計」 https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/cancer/26_mm.html#anchor1 Last accessed: September 2025
8. American Cancer Society. Multiple myeloma: early detection, diagnosis and staging. Available at: https://www.cancer.org/content/dam/CRC/PDF/Public/8740.00.pdf. Last accessed: September 2025.
9. DARZALEX FASPRO® U.S. Prescribing Information