※本プレスリリースは、10月16日に米国本社にて発表したプレスリリースの抄訳版です。必ずしも日本の状況を反映したものではないことをご了承ください。本資料の正式言語は英語であり、その内容及び解釈については英語が優先します。本資料(英文)については、 こちらをご参照ください。
テクベイリ®とダラツムマブの併用療法は日本国内において未承認です。予めご注意ください。
本併用療法が、再発又は難治性の多発性骨髄腫のセカンドライン治療として無増悪生存期間及び全生存期間の延長を示した初の第III相MajesTEC-3試験
統計学的に有意な結果に基づき、独立データモニタリング委員会は、本試験の非盲検化を勧告
ニュージャージー州ラリタン(米国時間2025年10月16日) – Johnson & Johnson(NYSE:JNJ、以下「J&J」)は、第III相MajesTEC-3試験のトップライン結果を発表しました。本試験は、1~3ラインの前治療歴を有する再発又は難治性の多発性骨髄腫患者さんを対象に、テクベイリ®(一般名:テクリスタマブ)とDARZALEX FASPRO®〔一般名:ダラツムマブ(遺伝子組換え)・ボルヒアルロニダーゼ アルファ(遺伝子組換え)製剤〕の併用療法による有効性と安全性を、治験担当医師が選択したDARZALEX FASPRO®、ポマリドミド及びデキサメタゾンの併用療法(DPd)又はDARZALEX FASPRO®、ボルテゾミブ及びデキサメタゾンの併用療法(DVd)と比較評価した試験です1。
約3年間の追跡調査において、テクベイリ®とDARZALEX FASPRO®の併用療法は、主要評価項目である無増悪生存期間(Progression Free Survival: PFS、治療を開始してからがんが進行又は患者さんが死亡するまでの期間)を達成し、統計学的に有意かつ標準治療を上回る結果を示しました2。また、この最初の中間解析では、副次評価項目である全生存期間(Overall Survival: OS)においても、統計学的に有意な結果が示されました2。
サラマンカ大学病院血液内科専門医のMaria-Victoria Mateos, M.D., Ph.D. *は、次のように述べています。「テクベイリは、豊富な臨床試験データ及びリアルワールドエビデンスを有し、多発性骨髄腫の後期治療ラインにおいて実績のあるBCMAとCD3 を標的とする二重特異性抗体です。本試験の結果は、意義のあるPFS及びOSの改善を示しており、テクベイリをベースとする併用療法の早期治療ラインにおける臨床的ベネフィットを示すものです。テクベイリとDARZALEX FASPROの併用療法は、BCMAとCD38を同時に標的とし、体内の免疫システムを刺激及び活性化し、骨髄腫細胞を死滅させます」
MajesTEC-3試験は、テクベイリ®とDARZALEX FASPRO®の併用療法が、現在の標準治療と比較してPFS及びOSを有意に延長することを示した初めての第III相試験です2。 中間解析で得られた統計学的に有意な結果に基づき、独立データモニタリング委員会(Independent Data Monitoring Committee: IDMC)は同試験の非盲検化を勧告しました2。
Johnson & Johnson Innovative MedicineのOncology 領域Global Therapeutic Area HeadであるYusri Elsayed, M.D., M.H.Sc., Ph.D.は、次のように述べています。「当社の最も重要な薬剤のうちの2つである、テクベイリとDARZALEX FASPROの併用療法に関するMajesTEC-3試験の結果は、多発性骨髄腫の患者さんに対する相補的そして相乗的な作用機序を示す治療法の開発に対する当社のリーダーシップを示すものです。私たちは、本併用療法が新たな標準治療の選択肢となることを確信しています。今回示されたPFS及びOSの延長は、当社のポートフォリオが多発性骨髄腫患者さんの治療に大きな変化をもたらしていることをさらに裏付けています」
テクベイリ®とDARZALEX FASPRO®の併用療法の安全性プロファイルは、各製剤の既知の安全性プロファイルと一貫していました。
第III相MajesTEC-3試験の結果は今後の主要な学会で発表されるとともに、規制当局に提出される予定です。
テクベイリ®とDARZALEX FASPRO®の併用療法に関する追加データ
第II相MajesTEC-5試験の結果が今年9月19日に
発表され、同試験において、テクベイリ®とDARZALEX FASPRO®の併用療法の臨床上意義ある効果が示されました。移植適応の未治療多発性骨髄腫患者さんにおいて、診断後の初回治療として投与を受けた患者さんで奏効率100%を達成しました3。また、微小残存病変(Minimal Residual Disease: MRD)の評価が可能であった全患者さんが、導入療法終了時にMRD陰性を達成し、造血幹細胞動員の成功率は96%でした3。
テクベイリ®について
テクベイリ®(一般名:テクリスタマブ)は、世界で初めて承認されたT細胞リダイレクト二重特異性抗体であり、科学的手法により、T細胞表面に発現するCD3受容体及び骨髄腫細胞及び一部の正常なB細胞系細胞の表面に発現するBCMAに結合し、免疫系を活性化します。テクベイリ®は、プロテアソーム阻害薬、免疫調節薬、抗CD38モノクローナル抗体製剤を含む4種類以上の前治療歴を有する、成人の再発又は難治性の多発性骨髄腫患者さんに対し、投与前の調製不要な皮下注射製剤として、2022年10月にFDAにより
承認されました4。
2024年2月、FDA は、6カ月以上にわたり完全奏効(Complete Response: CR)以上を達成・維持した再発又は難治性の多発性骨髄腫患者さんを対象に、テクベイリ®の1.5 mg/kgの隔週投与(Q2W)への減量について、生物製剤承認一部変更申請(sBLA)を
承認しました。FDAによる承認以降、世界で合計18,400人以上の患者さんがテクベイリ®による治療を受けています。
また2022年8月、プロテアソーム阻害薬、免疫調節薬、抗CD38モノクローナル抗体製剤を含む3種類以上の前治療歴を有し、最後の治療以降に病勢進行が認められた、成人の再発又は難治性の多発性骨髄腫患者さんに対する単剤療法として、ECから 条件付き販売承認を取得しました。2023年8月、ECはテクベイリ®のタイプII変更申請を 承認し、6カ月以上にわたりCR以上を達成した患者さんに対し、投与頻度を1.5 mg/kgの隔週投与(Q2W)に減らす選択肢を提供しました。
さらに詳しい情報については、
www.TECVAYLI.comをご覧ください。
DARZALEX FASPRO®及びDARZALEX®について ※以下は、米国における承認状況です。
DARZALEX FASPRO®(一般名:ダラツムマブ<遺伝子組換え>・ボルヒアルロニダーゼ アルファ<遺伝子組換え>製剤)は、2020年5月に米国FDAの 承認を取得し、多発性骨髄腫における10の適応症に対して承認されています。そのうちの4つが、移植適応又は移植非適応の未治療の多発性骨髄腫患者さんに対する治療です。本剤は、多発性骨髄腫患者さんの治療薬として承認されている唯一のCD38に対する皮下投与する抗体薬です。DARZALEX FASPRO®は、Halozyme社のENHANZE®ドラッグデリバリー技術である遺伝子組換えヒアルロニダーゼPH20と共に製剤化されています。
DARZALEX®(一般名:ダラツムマブ)は、2015年11月に米国FDAの
承認を取得し、10の適応症に対して承認されています。そのうちの3つが、移植適応又は移植非適応の未治療の多発性骨髄腫患者さんに対する治療です。DARZALEX®は、多発性骨髄腫治療薬として承認された最初のCD38に対する抗体薬です。DARZALEX®をベースとするレジメンは、世界中の618,000人以上の患者さんの治療に用いられてきました。
2012年8月、ヤンセン・バイオテックとGenmab A/Sは、ダラツムマブを開発・製造・販売するための独占的ライセンスをヤンセンに付与する契約を世界的に締結しました。
※なおDARZALEX FASPRO®は、日本国内では「ダラキューロ®配合皮下注」名で販売されています。
2020年以降、National Comprehensive Cancer Network®(NCCN®)は、未治療の多発性骨髄腫ならびに再発及び難治性の多発性骨髄腫の治療にダラツムマブをベースとする併用レジメンを推奨してきました。移植非適応の未治療多発性骨髄腫患者さんに対して、NCCN®ガイドラインは、ダラツムマブとレナリドミド及びデキサメタゾンの併用を、望ましいカテゴリー1レジメンの1つとして推奨、またダラツムマブとボルテゾミブ、メルファラン及びプレドニゾンの併用を追加的なカテゴリー1レジメンとして推奨し、ダラツムマブとボルテゾミブ、シクロホスファミド及びプレドニゾンの併用を、追加的なカテゴリー2Aレジメンとして推奨しています。移植適応の未治療多発性骨髄腫患者さんに対しては、NCCN®ガイドラインは、ダラツムマブとボルテゾミブ、レナリドミド及びデキサメタゾンの併用を、追加的なカテゴリー2Aレジメンとして推奨、またダラツムマブとボルテゾミブ、サリドマイド及びデキサメタゾンの併用を、特定の状況で有用なカテゴリー2Aレジメンの1つとして推奨しており、ダラツムマブとカルフィルゾミブ、レナリドミド及びデキサメタゾンの併用を、特定の状況で有用なカテゴリー2Aレジメンの1つとして推奨しており、ダラツムマブとシクロホスファミド、ボルテゾミブ及びデキサメタゾンの併用を、特定の状況で有用なカテゴリー2Aレジメンの1つとして推奨しています。移植適応患者さんに対する維持療法としては、NCCN®ガイドラインは、ダラツムマブとレナリドミドの併用を、特定の状況で有用として推奨しています。再発又は難治性の骨髄腫については、早期再発(前治療が1~3つ)に対して、ダラツムマブとレナリドミド及びデキサメタゾンの併用、ダラツムマブとボルテゾミブ及びデキサメタゾンの併用、ダラツムマブとカルフィルゾミブ及びデキサメタゾンの併用、ならびにダラツムマブとポマリドミド及びデキサメタゾンの併用[レナリドミド及びプロテアソーム阻害剤1剤を含む1つの前治療の後]の、4つのダラツムマブレジメンが望ましいカテゴリー1レジメンとして記載されています。またNCCN®は、ダラツムマブとシクロホスファミド、ボルテゾミブ及びデキサメタゾンの併用を、早期再発(前治療が1~3つ)に対する追加的なカテゴリー2Aレジメンとして推奨しており、プロテアソーム阻害剤1剤及び免疫調節薬1剤を含む3つ以上の前治療後の早期に再発した患者さん、またはプロテアソーム阻害剤及び免疫調節薬に二重抵抗性の患者さんに対しては、単剤療法を特定の状況で有用なカテゴリー2Aレジメンの1つとして推奨しています。
さらに詳しい情報については、
www.DARZALEX.comをご覧ください。
多発性骨髄腫について
多発性骨髄腫は、白血球の一種である形質細胞が骨髄内でがん化し、骨髄腫細胞となり異常に増殖することで生じる、治癒困難な血液がんです5。多発性骨髄腫では、がん化した形質細胞が増殖し、骨髄中の正常細胞が腫瘍細胞に置き換わっていきます6。世界的に見た場合、多発性骨髄腫は血液がんの中では3番目に多いがんであり、依然として治癒困難な疾患です7。2024年には、米国において35,000人以上が新たに多発性骨髄腫と診断され、毎年12,000人以上がこの疾患により亡くなると推定されています8。多発性骨髄腫の5年生存率は59.8%です9。多発性骨髄腫は初期には無症状の場合もありますが、骨折や骨痛、赤血球数の減少、疲労、カルシウム値の上昇や腎障害、感染症などの症状を機に、診断されることがあります10,11。
*Maria-Victoria Mateos氏は、J&Jのコンサルタントを務めていますが、メディア関連の活動に関する報酬は受け取っていません。
Johnson & Johnson について
Johnson & Johnsonは、健康こそすべてだと考えています。ヘルスケアイノベーションにおける私たちの強みが、複雑な病を予防、治療、治癒し、治療をよりスマート化した、低侵襲なものに進化させ、一人ひとりの患者さんに合ったソリューションを提供することができる世界を築く力になります。Innovative MedicineとMedTechにおける専門性を生かし、将来の飛躍的な進化に向けてヘルスケアソリューションの幅広い領域でイノベーションを推し進め、人々の健康に大きなインパクトを与えていきます。
日本におけるJohnson & Johnson Innovative Medicine について
Johnson & Johnson Innovative Medicine は、米J&Jグループにおける医療用医薬品事業の名称です。日本では、1978年の設立以来、これまでヤンセンファーマ株式会社として、患者さんの治療に貢献する多くの医薬品をお届けしてきました。私たちは、アンメットニーズに基づく開発戦略のもと、注力疾患領域―がん、免疫疾患、精神・神経疾患、心・肺疾患における学術および情報提供活動を強化しながら、私たちの薬剤を必要とする全ての患者さんが適切なタイミングでベストな治療を選択するための活動を続けています。
Johnson & Johnson Innovative Medicineに関する詳しい情報は
www.jnj.com/innovativemedicine/japan/をご覧ください。
将来に関する記述
このプレスリリースには、米国の1995年私的証券訴訟改革法で定義された「将来に関する記述」が含まれています。これらの記述は、製品開発及びテクベイリ®、DARZALEX FASPRO®の潜在的なベネフィット及び治療影響に関するものです。お読みの際には、これらの将来の見通しのみに依拠しないよう、ご注意ください。これらの記述は、将来の事象に関する現時点での予測に基づいています。
基礎となる前提が不正確であると判明した場合、あるいは既知もしくは未知のリスクや不確実性が現実化した場合、実際の成果は、ジョンソン・エンド・ジョンソンの予測や見通しと大きく異なる可能性があります。
リスクと不確実性には、これらに限定されるものではありません。臨床的成功及び規制当局の承認取得の不確実性をはじめとする製品の研究開発に伴う課題や不確実性、商業的成功の不確実性、製造上の問題または遅延、競合他社による特許取得、新製品開発、特許に対する異議申し立て、製品回収又は規制当局による措置につながる可能性、製品の有効性又は安全性に関する懸念、ヘルスケア製品及びサービスの購入者の行動や支出パターンの変化、世界的な医療改革などの適用される法律や規制の変更、医療費抑制への動きなどが含まれますが、これらに限定されるものではありません。
これらのリスクや不確実性、その他要因の詳細と一覧については、最新のForm10-Kに基づくジョンソン・エンド・ジョンソンの年次報告書の「将来予測に関する記述に関する注意事項(Cautionary Note Regarding Forward-Looking Statements)」、「リスク要因(Item 1A)」のセクション、またはジョンソン・エンド・ジョンソンの四半期報告書(From 10-Q)及び証券取引委員会へのその他の提出書類をご参照ください。
これら書類は、オンライン(
www.sec.gov,
www.jnj.com)でご覧いただくか、もしくはジョンソン・エンド・ジョンソン宛てにご請求ください。ジョンソン・エンド・ジョンソンは、新たな情報や今後の事象・変化などに基づいて、将来予測に関する記述を更新する義務を負いません。
【本件に関するお問合せ先】
Johnson & Johnson Innovative Medicine
コミュニケーション&パブリックアフェアーズ部
E-mail:
JP-PR@its.jnj.com
1. TECVAYLI® Prescribing Information. Horsham, PA: Janssen Biotech, Inc.
2. Janssen Research & Development, LLC. A Phase 3 Randomized Study Comparing Teclistamab in Combination With Daratumumab SC (Tec-Dara) Versus Standard Regimens in Relapsed or Refractory Multiple Myeloma (MajesTEC-3). ClinicalTrials.gov. Updated July 20, 2025. Available at: https://clinicaltrials.gov/study/NCT05083169
3. Raab, Marc, S., et al, Post-Induction Outcomes and Updated Minimal Residual Disease Analysis From GMMG-HD10/DSMM-XX (MajesTEC-5): a Study of Teclistamab-Based Induction Regimens in Newly Diagnosed Multiple Myeloma (NDMM). 2025 International Myeloma Society Annual Meeting. September 2025.
4. U.S. Food and Drug Administration. FDA Approves TECVAYLI® (teclistamab-cqyv), the First Bispecific T-cell Engager Antibody for the Treatment of Patients with Relapsed or Refractory Multiple Myeloma. October 25, 2022. Available at: https://www.jnj.com/u-s-fda-approves-tecvayli-teclistamab-cqyv-the-first-bispecific-t-cell-engager-antibody-for-the-treatment-of-patients-with-relapsed-or-refractory-multiple-myeloma
5. Rajkumar SV. Multiple myeloma: 2020 update on diagnosis, risk-stratification and management. Am J Hematol. 2020;95(5):548-5672020;95(5):548-567. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/32212178
6. National Cancer Institute. Plasma Cell Neoplasms. https://www.cancer.gov/types/myeloma/patient/myeloma-treatment-pdq. Accessed October 2025
7. City of Hope. Multiple Myeloma: Causes, Symptoms & Treatments. https://www.cancercenter.com/cancer-types/multiple-myeloma. Accessed October 2025
8. American Cancer Society. Key Statistics About Multiple Myeloma. https://cancerstatisticscenter.cancer.org/types/myeloma. Accessed October 2025.
9. SEER Explorer: An interactive website for SEER cancer statistics [Internet]. Surveillance Research Program, National Cancer Institute. https://seer.cancer.gov/explorer/ Accessed October 2025.
10. American Cancer Society. What is Multiple Myeloma? https://www.cancer.org/cancer/multiple-myeloma/about/what-is-multiple-myeloma.html. Accessed October 2025.
11. American Cancer Society. Multiple Myeloma Early Detection, Diagnosis, and Staging.
https://www.cancer.org/cancer/types/multiple-myeloma/detection-diagnosis-staging/detection.html. Accessed October 2025.